院長あいさつ

出会い

院長  狩 野 稔 久

TQM活動を通じて、さまざまな出会いを得ることができる。
医療のTQM推進協議会の幹事を引き受けているため、毎年、協議会主催の「フォーラム医療の改善活動全国大会」に参加させてもらっている。昨年の大会はJA長野厚生連 佐久総合病院が担当事務局となり11月に長野市で開催された。同病院は「農民とともに」をスローガンに地域のニーズから出発して第一線の医療を担いながら発展を続け、今や全国から地域医療を志す医学生や研修医、スタッフがぞくぞく集まってくる病院となり、その過程は創成期を支え農村医学を確立した若月俊一先生の著書「村で病気とたたかう」でも有名である。現院長の夏川周介先生は出身が益田市(奥様は浜田市出身)ということもあり、特に親近感が持て話がはずむ。故若月先生の実践講義を学生時代に受けたことも懐かしく思い出すことができた。夏川先生は同院の理念にあるように「農民とともにの精神で、医療および文化活動をつうじ、住民のいのちと環境を守り、生きがいある暮らしが実現できるような地域づくりと、国際保健医療への貢献を目指す」として、地域住民とともに歩む活動を強調されていた。
9月には福岡県飯塚市の「麻生飯塚病院TQM発表大会」で麻生グループ社長 麻生泰氏と話ができた(兄は太郎氏、大会は安部総裁の辞任後、太郎氏が出馬された自民党総裁選の前日のこと)。同院は石炭産業が華やかなりしころ麻生鉱業の社会事業としての開院がルーツで、研修教育指定病院のなかで常に研修医人気ベストテンに入る病院である。著書「明るい病院改革」の中でも述べられているが「病院の医療成績を通して筑豊地域のイメージアップを目指す」という郷土意識が強く感じられた。

どちらの病院も地域に密着し、地域に対する社会的責任を見据えながら運営を行い成功を収めているという点では共通のものがある。しかし、他の病院がそのままのやり方を真似したとしても果たして上手くいくものであろうか。これもTQM活動を通じて知り合った恵寿総合病院 院長 神野正博先生の言葉「病院の地域との関係は、その病院の担っている機能や競合他病院の機能、他の医療機関の分布、周辺地域の人口、高齢化率、産業構造などの組み合わせからなり、おそらく一つとして同じものはないと思われる。普遍的な解答がない中で、各々の病院の工夫が大切になってくる」通り、自院の特長を生かし他の病院との差別化を目指すことが肝要と考える。

先日、島根大学医学部で医学科、看護学科の1年生を対象に「医師会の地域医療活動」として講義をさせていただいたが、木下芳一学部長、益田順一前学部長も聴講され、益田市医師会の地域に密着したユニークな医療体制に好意的な評価をいただいた。講義後、両教授に「益田だから上手くいっているのですよ」と言いながら、20数年前「新たなる時代に対応した『益田地域独自』の医療サービス体制の創造と圏域の医療環境の改善」を目的に病院建設を決断された、当時の医師会先生方の先見の明に今更ながら恐れ入った。
今後も、益田という地域にしかできない、益田にしかない、地域に密着した魅力あるオンリーワン病院を目指していかねばならない。

(出会いといえば、札幌のフォーラムでは空港で俳優の伊武雅刀氏に、今回長野へ行く途中では松方弘樹氏と遭遇した。)