利き手交換について

はじめに

皆さんは「利き手交換」という言葉を聞いたことがありますか?普通に生活をしている中では、「利き手交換」という言葉を耳にする機会はあまり多くないのではないかと思います。しかし、もし何らかの理由で利き手を全く使うことが出来なくなったら?字が書けなくなり、箸も使えなくなりますよね・・・。そういう場面で必要になってくるのが、「利き手交換」なのです。
大半の方が右利きだと思いますが、一度は左手で字を書いたり、箸を使ってみたりしたことがあると思います。しかしかなり難しく、だんだんイライラしてきた事でしょう…。そこで今回は、字を書くという動作(書字動作)に的を絞って、短期間で効果的な利き手交換方法について述べていこうと思います。

利き手交換とは?

「脳卒中などで半身不随になったり、交通事故、工場事故などで腕を切断するなどのケースで、利き手が実用手(※)までに回復できないときに、利き手でなかった方の手(非利き手)を実用手とするために、作業療法士が訓練をすること。残された機能の向上で、生活の質(QOL)の維持を図ること。」と言われています。・・・簡単に言うと、右利きの方で右手が使えなくなった場合、左手を利き手として使うことで、障害を負っても元通りに近い日常生活を送れるよう練習するということですね。

※実用手:日常生活場面で、意識しなくても手が出る、字が書ける、箸が使える、そして耐久性があるもの。

効果的な練習方法

書字動作練習は、箸動作などと比較するとかなりの時間と忍耐力を必要とします。そのため、利き手が使えなくなった場合、いきなり非利き手でペンを握り、ひたすら根性のみで練習するのは少し荒療治であると言えます…。以下に一般的な方法について述べていきます。

【順序】

①輪郭だけの文字の塗りつぶしを行う
筆圧を強く、一定にするために、白抜きの文字を塗りつぶす。なるべくはみ出さず、同じ濃さでムラがないようにする。

②線引きの練習
縦、横、斜め、曲線を引く練習を行う。

③文字の練習
ⅰ)はじめはマスを利用し、簡単な漢字から始める(例:三、川、星など)
ⅱ)基本画を練習(例:?、ウ、几など)し、これらを含む漢字を練習する。
ⅲ)ひらがな、カタカナも追加していく。
ⅳ)単語、短文、長い文章へと進む。

【使用する用紙】

  1. 2cm角のマス
  2. 1.5cm角のマス
  3. 1cm幅の罫線紙

【筆記用具】

  1. 鉛筆 →できればHBが良い。消しゴムで消すことができるので、利き手交換の導入には最適。
  2. サインペン、マジック →筆圧をあまり必要せず、はっきりと印字できるが、書いた線が太く複雑な字は潰れてしまう。
  3. シャープペン、ボールペン→書いた線が細く、ボールの滑りすぎなどの難があり、難易度が最も高い。

上記のような方法で、①から順番に段階づけて行っていくことが、最も効率的で、かつ効果的であると言われています。

実用手になるまでの期間

これは、個人差がかなり大きいことに加え、様々な研究者による報告がされているため、具体的な期間は言えません。しかし、以下の3つのことを3で述べた様な適切な順序で行うことによって、60歳以上の方でもほぼ3カ月程度で実用的に役立つ状態に達しうると言われています。

  1. 一日15~30分は行うこと(一日に一回でも良い)
  2. 最低でも週に5日は行うこと
  3. イライラしないこと(一番大事なことかもしれません…(>_<)

きれいな字を書くためコツ

  • 筆圧を一定にする
  • 漢字は大きく、かなは小さく書く
  • 字の高さと字の基底線をそろえる
  • 横書きは文字の横線をしっかり書く
  • 縦書きは文字の縦線をしっかり引く

これは、利き手交換をしていないにも関わらず字が下手な方にもあてはまるかもしれませんね…(^_^;)

最後に

以上の方法は、短期間で利き手交換(書字動作)を成功させる最も効果的な方法であると言われていますが、習熟度や期間にはやはり個人差が大きいものです。出来ないからといってあせらず、自分のペースに合わせてやっていくことが大切であると言えます。

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