言語聴覚士による 訪問リハビリテーション

言語聴覚士とは・・・

脳卒中や事故、先天的な病気によって、話をすること・聞くこと・食べることが難しくなった方々とそのご家族に対して、必要なリハビリテーションを提供し、よりよく生活できるように支援をしていく職業です。

当院での訪問リハビリテーションとは・・・

在宅生活を送られている要支援・要介護状態の方々に対して、地域で現在の力を維持・向上させて在宅生活を継続していけるよう、自宅へセラピストが赴き、実際の生活場面でリハビリテーションを実施する、介護保険でのサービスです。

そのために、安全な介助方法や日中の過ごし方の検討を行い、現在の能力を普段の生活の中で使い続けていくことが重要になります。なお、訪問リハビリテーションは、永続的に行うものではなく、目標を設定し、短期間・集中的にリハビリテーションを行い、介助方法や自主トレーニングなど生活場面で定着が図れれば、相談の上、終了となります。

言語聴覚士による訪問リハビリテーションとは・・・

2005年より介護保険での言語聴覚士による訪問リハビリテーションが開始されました。益田圏域においては2008年末より、当院の言語聴覚士による訪問リハビリテーションを開始しましたが、まだ日が浅く、認知度も低い状況です。少しでも多くの方に知っていただき、利用の必要がある方にサービスが提供できるよう、簡単にご紹介します。

【主な対象者と内容】

対象:構音障害の方(舌や口などの麻痺による発音がはっきりしない)

内容:

  1. 発声練習・・・大きな声がでるように、また声のかすれやガラガラした声が少なくなるように、練習します。
  2. 口腔機能の練習・・・口や舌、アゴなど発音に必要な部位の運動を行います。
  3. 発音の練習・・・発音しにくい音に的を絞って練習をします。
  4. 話し方の工夫・指導・・・「ゆっくり話す」など、話しにくさはあるが、話し方を工夫することによって聞き手に聞き取りやすい話し方を 行う方法などを提案・指導します。
  5. 話し相手となる方への指導・・・話をする時はテレビの音量を小さくする、聞き取れない時はそのままにせず聞き返しを行うなど、聞き手の工夫で会話がスムースに成立するよう提案・指導します。
  6. 代償手段の活用(文字や絵、ハイテク機器)・・・発音が聞き取りにくい時は紙に書いてもらう、声が出ない方ではキーボードやボタンを押して意思を伝える装置を使うなど、発音以外にも残された力を使って、コミュニケーションを行う練習をします。

対象:失語症の方(脳の言語野の損傷によって、話す・聞く・読む・書くことが難しい)

内容:

  1. 物の名前を言う練習や字の読み書きなど、基盤となる練習
  2. 実際のコミュニケーションに必要なあらゆる練習
  3. 話し相手となる方への指導・・・言いたい言葉が出にくいときに少し待つ、短く具体的な言葉で話す、はい/いいえで答えられる質問をするなど、話し相手となる方へ話し方の工夫を行い、会話が成立しやすいよう提案・指導します。
  4. 代償手段の活用・・・絵を描いて伝える、字を書いて伝える、絵や字を指差して伝える、ジャスチャーや表情で伝える、機器の使用など、話し言葉以外の残された力を使って、コミュニケーションを行う練習をします。

図1:コミュニケーションノート

●言葉は話せないが、指さしで意思を伝えるためのノート

図2:食事介助方法

●食事の姿勢・一口量・水分へのトロミについての一覧表
●いつでも確認できるよう、食事をする場所に貼っておきます

対象:嚥下障害の方(食事中よくむせる、飲み込みにくい、食事に時間がかかる、など食事の食べにくさがある)

内容:

  1. 嚥下練習・・・食べ物を使った飲み込みの練習や、食べ物を使わない飲み込みの練習、噛む力をつける練習をします。
  2. 咳の練習・・・むせたときに、強く吐き出せるよう練習します。
  3. 口腔ケアの実施とケア方法の助言・指導・・・スポンジブラシなどを使った口の掃除などご本人にあった方法の提案とその実施のための家族指導などを行います。
  4. 食事環境の設定・・・安全な食事の姿勢(ベッド上でどのくらいの角度がよいか?)、食事形態(一口大がよいか?水分はトロミをつけたほうがよいか?)、嚥下食の作り方(パサパサしたものは食べにくいので煮る・蒸すほうがよいなど)、食事介助方法の指導(のどの動きを見て飲み込みを確認してから次にすすめるなど)、食具の検討(スプーンの柄を太くすると持ちやすいか?)など、安全な食事環境を検討します。
  5. 嚥下障害のある方は、構音障害を伴うことが多いので、構音障害に対する練習を行うことがよくあります。

写真1:自宅での口腔ケア

写真2:口腔ケア方法の家族指導

対象:高次脳機能障害の方(記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害など) 

内容:生活・活動場面で必要な練習・・・忘れないうちにノートに書き、見直す練習、規則正しい生活を送るための生活スケジュールの立案・実行、公共交通機関の利用、買い物練習(献立の立案・おおよその金額予測・スーパーへ行く)などその方に応じた様々な練習など、個々人に応じた練習を行います。また、必要に応じて関連機関(デイサービスの事業所など)へ、介助方法などの情報提供を行い、統一した介助方法で生活できるよう連携をとります。

当院の訪問リハビリテーション体制(H21.10時点)

写真3:理学療法での書字練習

理学療法士1名、言語聴覚士1名の計2名体制です。ご利用希望があれば、介護支援専門員(ケアマネージャー)や主治医にご相談ください。

●姿勢はどうかな?
●ペンの握りはどうかな?
●どうしたら書きやすいかな?

など ご本人と一緒に検討しながら練習しています。

最後に、記事作成にあたりご協力いただきました、訪問リハビリテーションの利用者様およびご家族様に、心よりお礼を申し上げます。

(写真は承諾をいただいて掲載しております)

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