寝たきりにならないためには

最近、「骨粗鬆症」が注目されています。なぜだと思いますか?
それは高齢期での骨折が生活の質を著しく低下させてしまうからです。誰もが老後をベッドで過ごすような生活を望んではいないと思います。しかし、高齢期に生じる様々な疾患の中で、脳卒中とともに骨折は寝たきりの状態にさせる疾患の主要因ということが明らかとなっています。

骨量は20~30歳でピークを迎え、それ以降は徐々に減少していきます。日本人の平均寿命が50~60歳代であった50年前には問題になりませんでしたが、現在では平均寿命が80歳代に達し、骨の強度が弱くなった状態で生活しなければなりません。
骨粗鬆症により骨量が減少し、強度が低下すること自体は生活に直接的な影響を及ぼしません。問題となるのは、骨粗鬆症によって骨折が発生したときに治るまで寝たきりになってしまうことです。高齢な方の場合、老化により身体機能が低下しているところに、運動を奪われることによってさらに大幅な機能低下が起こってしまいます。普段は意識しない何気ない動作(歩行や家事動作などの日常的な動作)が、実は身体にとって欠くことのできない刺激になっているのです。

寝たきりにならないためには、まず「転倒しない」ことです。高齢者では転倒の危険因子(表1)が多くなるため骨折の危険性が高まります。
転倒防止策としては、家の内部に存在する段差を無くす工夫をすることや、サンダルのようなものではない靴で出かけるなど、自分の周りの環境を変えていくことが必要です。
表1 転倒の危険因子

生理的要因 環境的要因
加齢
慢性疾患(片麻痺・パーキンソン病など)
健康状態悪化(虚弱、免疫機能低下)など

身体機能、運動機能低下
(視力障害、バランス機能低下、姿勢変形、歩行障害、筋力低下、神経機能低下、易疲労性 など)
住宅環境(屋内・外)
社会環境(道路、乗り物、社会施設・設備)
天候(風雨などの悪天候)
衣類、携帯物(履物、荷物)

転倒誘発状況の発生
(段差、階段、すべりやすい床・路面、コード類、敷物、照明不良、揺れ など)

次に、機能が低下していく身体のことを把握することも大切です。骨の状態を定期的に自分でチェックしておけば急激な骨密度の低下などにすぐに対応できます。
最も手軽に実践できかつ重要な要素は適当な運動を行うことと、栄養(カルシウム)の摂取です。両者は密接に関係しており、運動するだけでも、カルシウムを取るだけでも十分ではありません。
ではどのような運動がいいのでしょうか?高齢者の場合、身体面・安全面のことから、有酸素運動を、30~40分、一週間に3回以上行うことが奨められています。具体的な運動の例を表にしました。

表2 高齢者に対する運動の例

繰り返し骨に衝撃がかかる運動 ウォーキング、ジョギング、縄跳びなど
大きな衝撃のかかる運動 テニス、バトミントン、エアロビクス、バレーボール など(レクリエーションとして)
水中の抵抗を利用した運動 アクアビクス、水中歩行など
高齢でも比較的取り組みやすい運動 ゲートボール、卓球、水泳など
趣味的な運動 ハイキング、オリエンテーリング、サイクリングなど

また、骨への衝撃・荷重、筋力強化、バランス機能の改善により、骨量維持・増加および転倒予防を目標とした体操もあります。

図1
骨折予防のための体操の例
(骨量の増加、筋力増強、転倒防止を図り骨折の危険性低下を目的とする。)

四頭強化 背 筋
殿筋強化 腹筋 壁腕立て伏せ
踵あげ 片脚立ち しこふみ 足踏み 踏み台(階段)昇降

これらすべてをしなければならないわけではありません。大切なのは安全に、自分に合った運動負荷量で継続、習慣化していくことです。
一見すると変化のないような組織である骨ですが、誰でも年齢に伴い骨量は低下してきます。そして動かなければ動かないほど低下してきます。生活の中に運動を少しでも取り入れて、丈夫な骨と健康な心身を保っていきましょう!

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