維持しよう、嚥下機能

はじめに

日本人の死亡原因の中で肺炎は悪性新生物、心疾患、脳血管疾患に次ぐ第4位です。
肺炎による死亡のうち9割以上は65歳以上が占めています。65歳以上の高齢者に生じる肺炎の1/3は誤嚥によるものです。
水分や食べ物を飲み込むことを「嚥下」といい、うまく飲み込みができず、水分や食物が気管や肺に入ることを「誤嚥」といいます。
通常は気管に唾液や食事が入っても、むせて咳き込むため肺炎になることはありません。しかし加齢とともに、嚥下や咳反射が衰えてくると誤嚥した物をうまく吐き出せないため肺炎となるケースが多いです。

誤嚥の兆候

  1. 口から食べ物がこぼれる
  2. しょっちゅうよだれが出ている
  3. 飲み込むまでに時間がかかる、食事に時間がかかるようになった
  4. 食べ物や水分を飲むときにむせる
  5. 食べ物がのどに残った感じがする、またはうがいのようなゴロゴロいう音がする
  6. 痰が増えた、熱が出る
  7. 食事や水分をすすめても「いらない」と拒否することが多い

嚥下機能を維持しましょう

嚥下体操

嚥下機能を保つために考案されたのが嚥下体操です。嚥下体操にはいろいろな方法がありますが食事前に身体や口をほぐして動かしやすい状態にさせるのがポイントです。運動をする前に準備体操があるように、食事をする前のウォーミングアップと考えるとよいと思います。

①首を左右、前後、ぐるりと一周回す
②口を大きく開けたあと、ギュッと閉じる
③「イー」と口を横に引いたり「ウー」とすぼめる
④舌を前に突き出す、引っ込める
⑤左右の口角を舌でなめる
⑥舌を突き出したまま上下に動かす
⑦ 頬をふくらませる、すぼめる
⑧ 「パ」「タ」「カ」「ラ」を3回ずつ、
⑨深呼吸をする

深呼吸

食物や水分を飲み込むとき、私たちの呼吸は約1秒止まっています。
飲み込むときには、呼吸とのタイミングがずれないことが必要です。深呼吸が上手に出来ないと、飲み込む時のタイミングがずれて誤嚥しやすくなります。また、誤嚥をしたときは、誤嚥したものを咳で出す必要がありますが、このときも呼吸が上手に出来ないと効果的な咳が出せません。
姿勢を正してゆっくりとお腹から深呼吸が出来るように練習しておくとよいと思います

発音訓練

話すときと食べるときに使う筋肉は共通するものが多いため、声を出すことは誤嚥予防に効果的といえるでしょう。実際食べることに何らかの問題をもっている方の多くは、話すことにも難しさ(何と言っているか聞き取りづらいなど)を抱えている場合が多いです。
また声を出すことが口への刺激につながり唾液の分泌を促進するので口の中が潤い、飲み込みがしやすくなります。わざわざ訓練というと少し面倒かもしれませんが、そんな時は「会話」で十分です。会話では脳も使いますし、なにより話をして楽しいと感じることは認知面からもリハビリテーション効果が期待できます。ご家族や友人とたくさん話す機会をつくりましょう!

最後に

これらの訓練は、すぐに劇的に効果が上がるわけではありません。続けていくことでゆっくりと効果が出るといえます。また誤嚥性肺炎を予防するには嚥下の力を維持することのほかに、口の中をきれいに保つことも同じくらい重要です。口腔ケアの方法については、バックナンバーの「高齢者の口腔ケアについて」をご参照ください。
毎日継続し、安全に口から食べることを続けていきましょう。

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