リハビリと栄養について

はじめに

リハビリしても筋力や持久力が向上しない方に出会うことがあります。また、そのような方では、関節の可動範囲も狭くなりやすいように感じられます。リハビリを継続しても良い結果になるとは限らないのです。そのような方の栄養状態をみてみると、皆さん低栄養状態でした。リハビリと栄養について書いてある本を探してみると、良い本を見つけることができました。「PT・OT・STのためのリハビリテーション栄養 栄養ケアがリハを変える」です。その内容などから得たことを少しここでご紹介したいと思います。

栄養不良時の代謝

同化と異化
 同化とは、体内でエネルギーを使って、糖質、脂質、蛋白質、核酸などを合成する過程で、体の成長や維持に必要なもの。同化がなければ、筋肉などのあらゆる生体構成成分を合成できず、生命として成立できない。

 異化とは、糖質、脂質、蛋白質などを分解してエネルギーを得る過程。食事からエネルギーを得る過程も、生体構成成分を壊してエネルギーを得る過程も異化である。

 同化と異化のバランスが取れていれば、体重は変化しない。

飢餓時の代謝
 短期間の飢餓では、肝臓のグリコーゲンと脂肪組織の脂肪の異化(分解)が行なわれる。
しかし、グリコーゲンは12~24時間で枯渇するため、その後は筋肉や腸管の蛋白質の異化で生じた糖原生アミノ酸からグルコースが合成される(糖新生)。長期の飢餓では、多くの組織がグルコースではなく、遊離脂肪酸から産生したケトン体からエネルギーを獲得する。
栄養が食事で入ってこないと、自分の体を分解して、エネルギーをつくらなくてはならない。

侵襲時の代謝
 侵襲とは、生体内の恒常性を乱す可能性のある刺激であり、具体的には手術、外傷、骨折、感染症、熱傷などのこと。侵襲下の代謝変化は、傷害期、異化期、同化期に分けられる。傷害期は短く、エネルギー消費量が低下する。異化期では、筋肉の蛋白質や脂肪の異化で、治癒反応への内因性エネルギーが供給される。同化期では、適切な栄養と運動でリハビリ効果が期待できる。

まとめ

 以上のように、低栄養状態にあると適切な栄養が補給されなければ、リハビリを行っても自分の体を分解してエネルギーを作るため、逆効果になってしまうことが分ります。また、入院している方のほとんどは侵襲を受けているため、さらに栄養状態が不安定になりやすいことが分ります。
実際に当院でも廃用症候群の病名がついた方々の栄養状態と日常生活動作能力について調べてみました。多くの方は、低栄養状態にありました。また、入院時の栄養状態がよい方ほど、退院時の日常生活動作能力が高い傾向にありました。
 栄養状態もリハビリの効果を大きく左右するようです。怪我や病気で入院することは避けがたいことと思われますが、日ごろの栄養状態はそれに比べると気をつけやすいと思います。
皆さんも日ごろの食事に注意してみましょう。太りすぎは決して良くありませんが、ある程度の脂肪はとても大切なようです。

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