痴呆→認知症についての理解を深めよう

ふたば棟施設長 山崎達輔

認知症の疫学

社会の高齢化とともに今後認知症の患者は増え続け、2005年には189万人、2015年には262万人に達するといわれています。これは大きな社会開題であるとともに、QOLが低下しているこの認知症高齢者に対しどのように対応してい<べきか、現場にあるわれわれの責任は益々大きくなっできました。当施設でも程度の差はあれ、認知症症状を有する方の率は高く、日常業務を続ける上で認知症についての正確な知識を深めることは必須のことと考えます。

痴呆という言葉

一般的には痴呆=ぼけという風に短絡的に考えられているのが実体です。そもそも痴呆という言葉自体が人格を無視したような表現であり、この言葉から連想されるイメージは決して良いものではありません。”知”に””(やまいだれ)がついたばかりに良くないイメージをあたえてしまいました。痴のついた述語にはあまり好感のもてるものはありません。痴漢、痴愚、痴情、痴態など。それに比べると知のついた述語には立派なのが沢山あります。知意、知見、知識、知性、知徳、知能などなど。痴と知では180度も言葉の意味の違いがあります。さらに念をいれて痴の次に呆という単語まで付け加えました。これではダブルパンチです。(ぼけ:俗称であり学問的に定義された名称ではない)。
そこでお国の方で用語の見直しを検討してきた結果”痴呆”にかわって”認知症”という用語を今後使用することとなったとのことです。(厚生労働省、用語検討会、平成16年11月19日)

認知症の症状と珍断のポイント

認知症を来す原因疾患として脳血管性認知症とアルツハイマー型認知症が主なものであります。また病気の進行度によって、またその病態も多様であるためその初期の診断は容易ではないといわれています。認知症の中核となる症状は、記憶障害(新しい情報を学習したり、以前に学習した情報を想起する能力の障害)、知能障害、人格障害であります。またその随伴症状、周辺症状として幻覚、妄想、感情障害、意欲の変化、無関心、徘徊、うつ状態、不潔行為、睡眠障害などがあげられています。その結果、日常生活、社会生活を維持することができなくります。そこが物忘れが主症状であ る良性の老人性健忘と鑑別されるべき重要なポイントです。

認知症患者さんへの接し方

認知症は脳の病気によってあらわれた症状であります。認知症は病気 の一つなのです。他の臓器の病気と同じように考え、対応すべきです。ケアにあたって我々のなすべきは認知症についての知識と理解を深め、患者さんとの好ましい人間関係の構築のなかで患者さんが安心して普通の生活ができるようサポートしていくことです。 その際、大切なことは個人の尊厳、主体性を侵害しないように。個人の自己決定権を尊重し、納得のいくよう分かりやすい言葉で接 しましょう。また患者さんには感情は保持されています。説得や強制、命令、叱責は無意味で、本人には屈辱感が残るだけです。 自尊心を傷つけないように。おしめをされていること、ご飯が自分で食べられないことに情けない思いをしている方々にこれ以上の辛い思いをさせないようにしましょう。多くの患者さんは言葉は少なく、黙って寝ていることが通常ですが、それをいいこと に何もわかっていないと早合点しないように。真に迫りハツとす るような言葉が返ってくることはよく経験します。常に患者さんの言葉に耳を傾け尊敬と優しさの心で接し、入所者の皆さんが余生を有意義に送っていただくよう努力することが我々の責務と思 います。

平成16年12月24日、「痴呆」に代わる用語を論議してきた厚生労働省の検討会は今後これを「認知症」に変更すべきとの見解を出した。厚生労働省は24日から「痴呆」を「認知症」に変更して表現するよう協力依頼の通知を出している。
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