変形性膝関節症

注)
写真の説明:膝は変形して、O脚を呈しています。このようになると、体重がかかった時に感じる膝の内側の痛みも随分強くなります
【佛淵孝夫:慢性関節疾患(石井清一、平澤泰介監修)標準整形外科学第8版、医学書院、2002】

どんな病気?

「膝が痛くて病院に行ったら、これは年寄り病だと言われた。」と時々私たちの外来を訪れる患者さんがいらっしゃいます。
こう言って診察室に入るなり憤っている患者さんを見ると、両膝は腫れて内側に「く」の字に曲がっていることが多く、なるほど痛そうだと思うのと同時に、これは変形性膝関節症(へんけいせいしつかんせつしょう)だろうと、凡その診断をします。もちろんそれから詳しいお話を聞いて、必要な検査も加えてきちんと診断を進めますが、こういう患者さんが典型的な変形性膝関節症の患者さんと言えるでしょう。
この変形性膝関節症は、片側または両方の膝に痛みや腫れ、変形を起こす病気で、「寝ているときや座っているときには痛くないのに、立ち上がると膝が痛む」「歩き始めに膝が痛くて、歩いているとむしろ痛みがやわらぐ」といった症状が特徴的ですが、進行すると「膝が痛くて歩けない」「寝ているときでも膝の曲げ伸ばしがつらい」といった症状も現れます。前に紹介した患者さんのように、両膝が内側に向かって「く」の字に変形し、O脚を呈するようになると、随分進行した状態と言って差し支えないでしょう。

原因は?

やはり年齢が進むにつれてこの病気の頻度が増すことを考えれば、一種の老化現象と言えますが、他にも遺伝的素因、肥満、性ホルモンの影響、血流の障害などが原因になることもあり、単に「年寄り病」と片付けるのが適当でないこともあります。
いずれにしても膝関節の中では、骨の表面を覆う軟骨が傷んだり、骨から剥がれたりして膝を腫らすもととなり、また軟骨が剥がれると、骨がむき出しになるため痛みも感じますし、膝の滑らかな曲げ伸ばしが難しいといった症状を起こすことになります。

治療は?

生活習慣を必要に応じて改善することは、病気の治療、予防に有効な場合が多いと思います。長距離の歩行、階段の昇降、正座は膝に大きな負担をかけることになりますので、可能な限り避けるようにします。もちろん肥満のある方は減量が必要ですし、手軽とは言えないかもしれませんが、自転車に乗ったり、水中で運動することは膝の負担にもならず、推奨される運動と言えます。
私たちの外来では、症状に応じて飲み薬を処方していますし、時には膝の関節内に軟骨に好影響の注射や痛みをやわらげる注射をすることもあります。中には膝の負担を軽くするための装具を用いることで、痛みを軽くできる患者さんもあります。

残念ながら、傷んだり剥がれたりした軟骨を元通りに治すということは今の医学水準では難しいため、これらの治療はもっぱら痛みをやわらげるという目的のために行うことになります。
病気が進行して、痛みが強く、日常生活にも不自由になってしまった患者さんには、色々な術式の中から適した方法を選んで手術を行い、痛みを除くこともあります。
いずれにしても、この病気に限らず、全ての治療には「有効性」と「患者さん自身の受け入れやすさ」のいずれもが必要なわけですから、この病気になってしまった患者さんも担当医とよく話し合って、納得できる治療を受けられるよう願っています。

(文責 医師会病院整形外科 村田 秀則)

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