スギ花粉症

春到来、スギ花粉症の方にとってはつらい季節になりました。

症状は?

皆さんよくご存知の
①連続性のくしゃみ、②水様性鼻汁(透明でさらさらした鼻汁)、③鼻閉、④目のかゆみなどです。
鼻水が白濁していたり、粘稠で黄緑色調では時期的にかぜなどの合併も考えられます。

スギ花粉ってどんなもの?

スギ花粉は楕円形で先端が少し突出した構造をしており、表面には金平糖状の顆粒が付着しています。飛散した花粉はそのままでは数時間から数日の寿命といわれています。
スギ花粉はこのままではアレルギー反応を起こしませんが、鼻や、目の水分を吸うと数秒以内に外壁からタンパク質ないし糖タンパク質を放出し、数分を経過するとはじけて内壁から諸酵素を含むタンパク質を放出します。これらの物質が出て初めて抗原として作用しはじめます。

アレルギー性鼻炎はどうして起こる?

ある時期たくさんのスギ花粉にさらされると(抗原の曝露)、体内にスギに対する抗体(特異IgE抗体)が製造され、その製造記憶が残されます。
次の年、再びスギ花粉が目や鼻やのどに吸着し水を吸うと、抗原物質が放出されこれに反応して特異IgE抗体が血清中に急増します。特に肥満細胞において表面に存在するレセブターと呼ばれる鍵穴にIgEがおさまると肥満細胞は感作されたといいます。
細胞表面についたたくさんのIgE抗体に対し、橋渡しする様な格好で抗原が結合すると(架橋形成)、はじめて鍵が回され肥満細胞から特殊な物質が放出されます(脱顆粒)。この放出物質は種々ありますが、よく知られているものにヒスタミンという物質があります。
このヒスタミンが鼻の三叉神経を刺激すると、刺激が脳のくしゃみに関係した部位(脳幹くしゃみ中枢)を刺激し、横隔膜や肋間の筋肉、喉頭などに働きかけ、くしゃみが起こります。またこの刺激が副交感神経に伝達されると鼻水を出す腺が刺激され、水様性鼻汁が出ます。一方で鼻の粘膜の下にある血管に作用すると、血管から粘膜内に水が出て(血管透過性の亢進)、粘膜浮腫状態となり鼻閉が起こることとなります。
抗原に曝露されると5分以内にただちにこれらの反応がおこり、15分程度でピークに達し1時間程度持続します。これらは即時相反応と呼ばれています。
ただ即時相反応の数時間後に起こる反応もあり、主に好酸球や、好中球が関連した放出物質により、鼻閉という症状を起こします。これは遅延相反応と呼ばれています。

アレルギーの起こり方

スギ花粉飛散量の予測は?
現在いろいろな予測方法がとられています

  1. 前年の7月の気象条件
    平均気温が高い程、最高気温が高い程、日照時間が長い程、次の年のスギ花粉が多く、降水量が多い程、平均湿度が高い程、花粉の量は少ないといわれています。この時期の環境がスギの雄花の発育に関係するようです。
  2. 植物が多く実をつけた年の次の年は実が少ないといった現象(隔年結実現象)
    これよりスギ花粉の多い年と少ない年は、交互に来るようです。
  3. スギ花粉飛散開始日の予測
    この地域は例年2月10日前後から4月1週ごろまでのようですが、ただ3月末より4月末までヒノキが続き、スギ花粉症の人はヒノキ花粉症であることが多く、5月くらいまで症状の続く人もおられるでしょう。

どんな治療がありますか?

花粉症の場合は花粉の飛ぶ期間がある程度決まっているので、内服薬での治療が有効です。シーズン中にかぎり、薬はある程度連続して飲み続ける方が良いと思われます。
効き目が強いといわれるものほど抗ヒスタミン作用が強いためどうしても眠気や作業能率の低下をきたします。しかし最近は1日1回内服ですむ薬も多く、ききめもあり、眠気や作業能率の低下もある程度抑えられたものがでています。また遅延相反応の鼻閉に対応の薬も出ています。しかし、一旦アレルギー症状が起こり始めるとこれを抑えるのはなかなか大変です。

そこで最近では花粉が飛び始める1、2週間前ごろつまり2月初め頃から薬を飲み始める初期療法が有効だといわれています。花粉飛散ピーク時の症状が軽くて済むと言われています。
手術で鼻の粘膜をレーザーで焼いて固め、アレルギーが起こる場を少なくすることで症状改善を図る方法もとられています。しかしこれはアレルギーのシーズン以前に行っておくことが必要です。
最近では各地でシーズン中の花粉飛散量が毎日を測られており、新聞や、NHKテレビ、大学関連のホームページに定期的に(毎日~数日おきに)花粉情報が掲載されています。
ひどい場合はこれらを参考にし外出を控えるなどの自衛手段も必要でしょう。


文責
神崎耳鼻咽喉科院長 神崎裕士

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