鼻出血のはなし

鼻出血は20歳以下の若いかたに多くみられますが、特に子供では、鼻をほじることによって、鼻の粘膜を傷つけ出血する場合が多いようです。
鼻腔は鼻中隔というしきりで左右にわけられています。鼻の入り口から約1cm入ったこの鼻中隔の表面には、キーセルバッハと呼ばれている動脈系-静脈系の吻合部があり、たくさんの小血管が密集しています。一旦そこを傷つけてしまうと出血が起こり、その後傷口を血の塊が覆い止血しますが、気にしてその血の塊をはぎ取ったり、あるいは寝ていて無意識のうちに鼻を布団や枕に押しつけたり、鼻の外側を押したりすると鼻の内側に圧がかかり、血の塊にずれを生じ再び傷口が開き出血します。そしてこの繰り返しが続く程、傷は次第に深くなり出血の程度はひどくなります。

原因としては子供の場合、鼻血と軽くみてしまい鼻いじりを容認してしまう。鼻のかみかたが間違っている。風邪、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎などによる鼻炎があり、鼻をかんだり鼻に指を持っていく頻度が多い。爪が伸びていて傷つけやすい。などで親の観察不足や管理不足も関係します。

大人の場合では高血圧や動脈硬化症などの循環障害が多く、まれに鼻副鼻腔腫瘍などでみられます。最近では交通事故での顔面や頭部の外傷の後遺症として、動脈損傷後に形成された動脈瘤が破れ鼻出血として現れる場合もふえています。これらは鼻出血としては重症な場合が多く、出血している所がキーゼルバッハ部位でない場合がほとんどで、顔をうつむきかげんにしても咽頭の方へどんどん下りてくる場合が多く、気道の管理、静脈の確保、ショックの予防など、適切な処置が必要です。

子供や青年の鼻出血はほとんどの場合軽いもので、あまり神経質になりすぎることはありませんが、何度も繰り返したり、その程度がひどい場合は、血液疾患や、希な腫瘍も考え専門医による診察や検査が必要です。入院を必要とする重症例は大部分が40歳以上の中高年のため、軽い症状の段階で早めに原因を明らかにしておくことが大事です。

図引用(新耳鼻咽喉科学)

簡単な緊急時の処置としては、座っても寝ても良いのですが、鼻の前下方向へ血をためて固めるように顔を下に向け鼻をつまんで圧迫し口で呼吸する姿勢を取ります。のどに流れてくる血液はなるべく飲まないようにし、静かに舌で押し出します。よく顔を上に向かせ首の後ろを手でとんとんとたたいているのを見受けますが、出血点が血の塊でふさがれないばかりか、血液がのどにどんどん流れこみ、むせや吐き気をおこします。そのため恐怖感や緊張感が高まり、血はかえって止まりにくくなります。まして高齢者の場合は高血圧による血管障害が原因の場合が多く、後頭部をたたくのは大変危険です。

文責
神崎耳鼻咽喉科医院 神崎裕士

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